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ゲヴュルツトラミネールとは?
金色のワインの魅力とおすすめ料理

執筆者プロフィール

アシスタントチーフソムリエ 岡田 昌男

ラ・ベル・エポック 、オーキッドルーム等を経て、現在は 山里 ソムリエ。
ワインのみならずカクテルや日本酒にも精通し、利酒師、HBAシニアバーテンダーの資格も持つ。
骨董品をはじめ、古き良き時代の物にも造詣が深い。

シャルル・ド・ゴール空港から小型機に乗り換え約1時間、飛行機はドイツとスイスの国境にほど近いアルザス地方ミュルーズに到着します。フランス東部に位置する、アルザス地方で見られるブドウ品種は、フランスの他の地域とは大きく異なり、ゲヴュルツトラミネール、リースリング、ピノ・グリ、シルヴァーナーなど、冷涼な気候帯を好むドイツでよく知られるブドウ品種が広く栽培されております。その中でちょっと変わった名前が印象的な「ゲヴュルツトラミネール」(Gewurztraminer)は、気取らず付き合えるフレンドリーな友達のようなワインです。そんな印象的なワインについて詳しくご紹介いたします。

ゲヴュルツトラミネールの産地と特徴

ゲヴュルツトラミネール イメージ画像

このブドウ品種名の由来について、ゲヴェルツ(GEWURZ)とは、ドイツ語で香辛料をあらわし、ライチやパッションフルーツ、バラなど複雑でスパイシーなしっかりとした香りを持つところから来ており、トラミナー(TRAMINER)とは、イタリア南チロル地方(トレンティーノ・アルト・アディジェ地方)ボルツァーノの南の町「トラミン」が発祥の地であるため、そう名づけられました。
ブドウの特徴は、一般的に良く知られるシャルドネやソーヴィニヨン・ブランなど、白ワイン用ブドウの果実は透明な黄緑の色彩を持ちますが、ゲヴュルツトラミネールは白ワイン用品種でありながら、薄赤紫の小さな果実を実らせます。このピンクパープルのキュートなブドウは、霜やウドンコ病に弱くデリケートな品種であり、栽培には大変手がかかります。そのぶん愛情は十分にそそがれ、出来上がるワインの色合いはゴールドに光輝き、トロピカルでスパイシーな香りは大変芳醇で、酸は比較的穏やか、溌溂とした印象の魅力的なワインに仕上がります。
アルザスの南に位置するジュラ地方にはサヴァニャン(SAVAGNIN)というブドウ品種がありますが、こちらは別名トラミナーとも呼ばれ、ゲヴュルツトラミネールの変種と言われます。現在日本でも、ゲヴュルツトラミネールなどフランスのアルザス地方やドイツで栽培されているブドウ品種が、1970年代より北海道羅臼町鶴沼の日当たりの良い粘土質土壌の畑で栽培され、近年、高く評価されるワインが造られております。

その昔、イタリアからドイツを経由しアルザスにもたらされたこの品種からは、収穫するタイミングによって様々な魅力あるタイプのワインが造られております。
通常造られるワイン以外に、遅摘みで収獲をしたブドウを使った甘口タイプ、「ヴァンダンジュ・タルディブ」や、さらに摘み取りを遅らせ貴腐菌を繁殖させ糖度を上げ収穫した、「セレクション・グラン・ノーブル」など、ハチミツや、干しアンズなどの香りが漂う優雅な味わいの大変貴重で高級な甘口ワインが生み出されます。少し珍しい蒸留酒(オー・ド・ヴィー)ですが、ワイン醸造後に出る搾りかす、澱などを蒸留し造られるマール・ダルザス・ゲヴュルツトラミネールやマール・ダルザス・ゲヴュルツトラミネール・ヴァンダンジュ・タルディブ、マール・ダルザス・ゲヴュルツトラミネール・セレクション・グラン・ノーブルなど薫り高い贅沢なスピリッツも食卓を楽しませてくれます。

おすすめのゲヴュルツトラミネール

ヒューゲル HUGEL

1639年アルザスのリクヴィールに設立。12代目にあたる現在も100%家族経営がなされております。平均樹齢35年のブドウからできる果汁に、補糖や樽香をつけるなど、一切余計な手は加えず造られる純粋なワインは世界100ヵ国以上に輸出され、アルザスワインと言えばヒューゲルと言われるほどの高い信頼を得ており、ホテルオークラ東京でも開業以来、ワインリストに記載されている銘柄のひとつです。特に貴腐菌の着いたブドウのみを摘み取り醸される、華やかな蜜の味わいの「ヒューゲル ゲヴュルツトラミネール・セレクション・グラン・ノーブル」は、最高のデザートワインとしておすすめです。ブドウ果実をそのまま頬張ったとき以上の感動が味わえる、膨らみのある香りは絶品で、380年の歴史を誇るメーカーの高い技術の結晶でもあります。

トリンバック TRIMBACH

1626年よりブドウを栽培し地元の村長を務めるなどアルザスの名家として知られます。
ミシュラン三ツ星レストランのワインリストに載る定番ワインであり、国際的な品評会で数々の賞を獲得している名門です。トリンバックのゲヴュルツトラミネールは透明感があり、白系スパイスのニュアンスやグレープフルーツなどの柑橘系の酸が心地よく、しっかりとしたミネラル感が、一本芯の通ったキレのある味わいに仕上っております。他にトリンバック家が200年以上大切に所有する最高の畑に、リースリング種で造られる「トリンバック クロ・サンテューヌ」があります。この単一畑は秀逸で世界中のワインラバー垂涎の的でもあります。果実味が優しくピュアで酸とのバランスも良く上品なミネラルが感じられ全体を引き締めています。年間生産量は8,000本程度と大変貴重なワインです。

ドメーヌ・ヴァインバック DOMAINE WEINBACH

1600年代、アルザスのカイゼスベルグ地区にカプチン派の修道僧により始められました。
「ヴァインバック=ワインの小川」という名を持つドメーヌで、1898年よりファレール家の所有となります。2005年よりビオディナミを完全実施、100%有機栽培のブドウを使用しこだわりのワインを生み出しています。自然なままの味わいを生かすため人の介入を極力抑え、大切に収穫した果実は優しく搾られ、天然酵母により発酵させ伝統の古い樽で貯蔵されます。おすすめは、「ヴァインバック ゲヴュルツトラミネール キュベ・テオ」、グラン・クリュのシュロスベルグの麓、クロ・デ・キャプサンのブドウを使用し造られます。ライチやバラの香りが特徴的で芳醇な香りと優しく華やかなニュアンスのワインです。
(ヴァインバックが持つ畑「クロ・デ・キャプサン」は890年代の歴史書にも登場する歴史ある畑です)

ゲヴュルツトラミネールに合うおすすめ料理

合わせたいおすすめ料理は、ゲヴュルツ(香辛料)と言う名の通り、風味の強いスパイスやハーブをきかせた魚料理、エスニックな肉料理、カレーなどの風味のあるお料理などに、更にシュークルートやベックオフ(アルザスの肉じゃが料理)、マンステールやアフィネ・オ・ゲヴュルツトラミネールなどウォッシュタイプのチーズなどに、よく冷えたゲヴェルツ・トラミネールをグッと一杯!というのが食欲もそそられ、パーティーを盛り上げてくれるのではないでしょうか。

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